B パワーボートセッティング講座

《もっと早く走りたい》

セッティングの方法も確立され、スクリューの加工法など皆まちまちとなってレースが面白くなってきた!
この中に1人だけF3000の異名を持つ大里氏がいる1周13秒台(平均時速約60Km以上トップスピード約70Km以上)で走りぬくからだ。

なぜ彼が飛びぬけて速いのだろう!彼はデータ取りの走り込みがちがう。1ヶ月4リットル缶を3〜4本を燃やす男だ。
大里氏の要望でカプセルタイプのカウリングを製作、軽量船体を製作しての走航結果を追ってみました。





★エンジンはXM−21ノーマルエンジン
★使用スクリュー X440/3(改)
★使用燃料    ニトロ50%
★全備重量    2,200g
                             (レースでは200gウエイト搭載)









速さの秘訣
1)安定したニードルセッティングを求めサブタンクを搭載
2)ワイヤーの回転抵抗を下げる為、オイルタンクを搭載
    マフラープレッシャーで強制注入
  (大幅にワイヤーの耐久性が伸びる)
3)スクリューシャフト軸にスラストベアリングを使用
  (スピードの違いが感じられる結果が出ます)
4)船外エンジンにノーズコーンをつけて整流結果による
    スクリューのスリップ率を下げる
5)マフラー排気穴を5Φ〜6Φに広げる
  (少し音がうるさくなる)
以上が大里氏の船体概要です。

その走りは・・・向かい風でも舞い上らない、船底は面の接水ではなく宙に浮いた状態のごとく点の接水で安定しているから速い!

追風、向い風とも走航差を見せない、船外エンジンの限界の走りを解剖してみよう。


 船首を押し下げるダウンホース
    角度・形状によって大きく差の出るダウンホース

 トンネル内部に取り込んだ空気圧と内部天上形状によって生じる揚力

 スクリューの回転で生じるリフト力(2枚より3枚ペラの方がリフト力が強い)
  船体を押し上げ船首を下げる効果が強くなる

 迎角とスピードによって発生する舞い上げ力

 重心位置より後方を支点に力の相対関係のバランス調整により船底の接水面を少なくすることが
  できる

 安定フィンによって直進性・急旋回安定走航の保持と微妙な船首下げ効果が発生する

上記の船体特性を充分に知り、推進力となるエンジンの性能を最大限に発揮できるセッティング
が確立しているからこそ速いのです。

<<向かい風でなぜ舞い上がらない>>

スピードが出れば出る程()船首のダウンホースが大きく()船体が浮き上り(ハヘ)によって頭下げモーメントが大きく働き、向かい風で発生する()の舞い上げ力を完全におさえ切って()を支点とした相対バランスで船体の接水面の少ない点の接水で走りきるのです。
これは実艇F3000のスピードトライアル(時速220Km以上)を見ているかの走りとなるのです。

※船外エンジンの利点
◎推進力点(スクリュー位置)がトランサムよりかなり後方にある為に重心位置を後方にセットすることでパワーロスを少なくすることができるのでエンジンの持つ性能を最大限に発揮できるのです。
◎その日の水面コンディションによってエンジンの取り付け位置、推進角調整(トリム)がすぐに行なえる為ベストコンディションをセッティングできる。
<<軽い船体には戦闘力がない>>

レース場は限られたスペースの中で何艇も入り乱れて走る為に引き波や△波を乗り切って走らなければなりません。
見物人はまるでバギーのレースを見ている様だ!と表現した程スリリングなレース展開となるのです。
レディーホークでワンメークレースをしているのですが全備重量2,200gの軽さではハネ上がってしまいレース使用にはならず大里氏は200gのウエイトを搭載しています。

◎2004年シリーズチャンピオン戦は3月に第一戦が開催
 エンジンの改造(RX用ピストンライナー 4Eキャプ使用可能)
 となるためなおスピードアップが期待されます。

<今後の講座予定>
『飛燕120』をつくる講座が終了した後に掲載します。

◎ハイスピード急旋回を追求してレース場で勝利を制するV艇の調整法(サムライ21船外を紹介)
◎改造手法の面白さで楽しむ 京商FMR−21Vを追う
◎パワーボートF1 F3000 1/4モデルを追求
◎手造り船外エンジン(エンヤ80X使用) ツインエンジンカタマランの魅力
◎OSXM21船外エンジンを簡単にチルトコントロールで楽しむ法


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